不動産(家)の権利書を無くしてしまった場合、どうすればいい?(必要な手続き)

権利証

「権利書」という言葉で思い出されるのは、2時間サスペンスドラマの悪役です。不動産(家)のの権利書を手にした悪役が、「これでこの家は私のものだ!」とニヤリと笑う様子が目に浮かびますね。

実際に不動産の売買契約が成立すると、代金の決済時に権利書を引き渡すよう要求されます。この時になって、家のタンスの奥深くに大切にしまってあるはずの権利書が見つからず大慌て、というお客様もたまにいらっしゃいます。

「不動産の権利書が無いということは、この家の所有権を持っていないということ?」
「不動産の権利書を持っていないのに売買契約をしてしまった、詐欺になってしまうの?」

不動産の権利書を無くしたらどうなってしまうのか、詳しくご説明します。

そもそも不動産の「権利書」って何? その役割は?

権利書は所有権そのものではない

不動産の権利書を無くしてまず感じるのは「所有権を失ってしまったのでないか」という不安です。火事や地震などの災害時には、通帳や印鑑と一緒に家の権利書を持って逃げようと考える人が多いですね。

実はこの考え方は誤解で、権利書=所有権そのものではありません

権利書はあくまでも不動産の権利者であることを証明する紙切れで、権利書がなくてもそれを証明する手段は他にあります。火事や地震、津波などの災害に出会った場合は、権利書などに構わず自分の命が助かることを最優先に考えなければなりません。

不動産の所有権を証明する「登記」の仕組み

所有権をはじめとした不動産の権利は「登記」によって証明されます。

登記とは、国の定めた法律によって各種の権利や義務が保護される仕組みです。登記は義務ではありません、不動産の所有権の受け渡しは売主・買主の合意で成立します。しかしそれを第三者に証明し権利を主張するためには登記が必要になります。

所有権の移転が登記済であることを示すのが、権利書と呼ばれる書類です。

不動産の権利書には2種類ある

不動産の所有権が登記済であることを示す書類は、「登記済権利証」と「登記識別情報」の2種類あります。

登記済権利証は、過去に登記所で発行されていた「登記済証」のうち、特に所有権に関するものを指します。

登記所がすべてオンライン化した現在、新しく登記済権利証は発行されることはありませんが、過去に発行された登記済権利証は現在でも有効です。

登記識別情報は、現在のコンピュータ化された登記所で発行される書類です。12桁の英数字のパスワードが印刷され、シールや袋とじで目隠しされています。発行されるのはパスワードですが、書類の形で交付され法律的な位置づけも従来の登記済権利証とほぼ同じです。

不動産の権利書を無くしてしまった

不動産の権利書を無くすとどうなるの?

不動産の権利書を紛失しても、所有権を失うことはありません。

不動産を所有したまま死亡すれば、相続が発生し新しい所有者(相続人)の名前で権利書が発行されます。相続の権利は戸籍や遺産分割協議書で証明されるため、基本的に権利書の提出は必要ないからです。

権利書を無くして一番困るのは、不動産を売却したり贈与したりする場合です。

売却や贈与で生じた所有権の移転を登記するには、登記所に対して「所有者本人が、所有権を受け渡す意思がある」ことを証明しなければいけません。その証明のために、所有権移転の登記の際の権利書の提出が義務付けられています。

不動産の権利書が再発行できるならそれで済むのですが、残念ながらできません。

登記済権利証も登記識別情報も同じです。登記した時の1回しか発行してもらえない制度になっています。このままでは、死ぬまで不動産を処分することができなくなってしまいます。

不動産の権利書が悪用されたらどうしよう?

不動産の権利書が盗まれ悪用の危険があるなら、3ヶ月間に限られますが不正な登記が行われないよう監視してもらうことができます。紛失した権利書が登記識別情報だった場合は、パスワードを無効にする手続きが可能です。

しかし実際のところ、悪用のリスクは低いと考えて良いでしょう。

所有権移転の登記には権利書の他に印鑑証明書や実印が必要で、さらに司法書士が所有者本人であるかどうか念入りに確認します。印鑑証明書を偽造したり司法書士を丸め込んだりといった組織的な犯罪集団のターゲットにならない限り、不正な登記は不可能です。

万が一不正に登記されてしまった場合でも、法的に不動産の所有権を失うわけではありません。裁判で登記が無効であることを証明して、所有権移転の登記を抹消することができます。
そうはいっても裁判には費用も体力も消耗します。

権利書が悪用されるおそれがある場合は、登記識別情報の失効を手続きをとり実印の管理に気を付けるのが現実的な対策です。

不動産の権利書が無い状態で家を売却するには?

司法書士に本人確認をお願いする

権利書が無い状態で不動産を売却し所有権移転の登記を申請する場合、権利書に代わって「所有者本人に売却の意思がある」こと証明する書類が必要です。

もちろん所有者本人が「私が本人だ!」と主張するだけではダメで、法的に資格を持つ人物に証明してもらうことになります。この場合は所有権移転登記の手続きを行う司法書士が責任を持って所有者本人の確認を行います。
 

本人確認は主に聞き取り調査と書類の確認によって行います

不動産の所有権を取得した経緯や権利書紛失の理由、その経緯について聞き取り、不動産を取得したときの不動産売買契約書や領収書で裏付けを取ります。

司法書士は調査の内容をもとに文書を作成し、「本人確認情報」として登記所に提出します。「本人確認情報」の作成料は5~10万円ほどかかります。

公証人役場で本人確認をお願いする

こちらも法的資格のある人物に、本人であることを証明してもらう方法です。

司法書士に対する登記申請代理の委任状や登記原因証明情報などの書類を事前に作成し、公証人役場に持参します。所有者本人は公証人の面前でこれら書類に署名し、実印を捺印します。

公証人は「確かに本人が目の前で署名しましたよ」という認証文を作成します。その書類を登記申請書に添付すれば権利書の代わりになるという制度です。公証人の手数料は1万円以内で、司法書士に本人確認をお願いするよりも安価で証明書を作成することが可能です。

登記所から事前通知を行う方法

不動産の取引ではめったに利用しませんが、権利書の提出無しで登記を申請する方法もあります。

権利書を提出せずに所有権移転登記を申請すると、元の所有者(売主)宛てに「この不動産の所有権を移転して間違いないですか?」と確認の書類が届きます。この書類に「登記申請は真実です」と署名捺印し、2週間以内に返送するとはじめて登記の手続が進められます。この2週間という期限がやっかいで、大きな金額が動く不動産の取引において2週間も権利関係をあいまいな状態にすることは好ましくありません。

事前通知制度を利用するのは、親子間の贈与など書類が返送されなくても被害が小さいケースに限られています。

まとめ【不動産の権利書をなくしてしまった場合】

今回は、不動産の所有権と登記や権利書の関係、およびその役割について解説しました。

権利書を無くしても所有権を失うことはありませんが、不動産を売却する際に多少面倒な手続きを取らなければならなくなります。悪用を避けるためにも権利書は大切に保管し、売却を検討する際は事前に権利書の所在を確認しておきましょう。

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